
2025.08.27
ジンズのたねまき
JINS PARK発、まちにひろがる活気の輪。地域を盛り上げる仲間たちをご紹介します!
2021年に創設された「地域共生事業部」。JINS発祥の地・群馬県前橋市にある複合施設「JINS PARK」を起点にして、地域の可能性をひろげる取り組みを進めています。
同事業部を取り上げた以前の記事では、この部署が生まれた背景、組織の概要、創設から4年をかけて築いてきた地域とのつながりについてお伝えしました。
今回は視点を変え、地域共生事業部と「地域をともに盛り上げる仲間たち」にフォーカス。自分らしさを発揮して地域に活気をもたらしている人や、一緒に活動しているパートナーなど、5つの個人・団体をご紹介します!
▼目次
【CASE1】ミニチュアパン作家 ともパンさん
【CASE2】群馬で人気のマルシェ「森の雑貨屋さん」
【CASE3】アーティスト ぽんちゃん
【CASE4】「黄色でツナガルプロジェクト」森下達也さん
【CASE5】共愛学園の学生、先生、スタッフのみなさん
【CASE1】ミニチュアパン作家 ともパンさん

ミニチュアパン作家 ともパンさん
ミニチュアパン作家のともぱんさん。彼女の作品は、ほんものと見間違うほどの精巧さが特徴です。思わず食べたくなるシズル感や、ミニチュアならではのかわいらしさが、見る人を引き込みます。
JINS PARKでは、「企業における公共とは?」をテーマに、地域共生事業部が主催するイベントのほか、施設内スペースを地域に開放し、企画主催者を募集するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。
ともぱんさんには、これまで何度もJINS PARKのイベントにご出店いただき、コラボ企画にもご参加いただいています。なかでも思い出深いのが、創設3周年を祝う「周年祭」です。JINSが運営するベーカリーカフェ「エブリパン」の商品を模したミニチュアパンを、ともパンさんに制作いただきました。
ともパンさん「たのしそうな企画だったので、すぐに依頼をお引き受けしました。けれど、フタを開けてみたら、すごく大変で(笑)。
作品を提案するたびに『もう少し形を似せてほしい』などの指摘を受け、何回もつくりなおしました。それまでは仕事というより趣味の意識が強かったのですが、本気のフィードバックに、『やるしかない!』と覚悟が決まりました。この経験が、本格的に作家として歩みはじめる分岐点になったと思います」
当時のことを、地域共生事業部 石井もよく覚えているそうで……。
石井「一緒にいいものをつくりたい。そんなわたしたちの思いを受け止め、『これはエブリパンのパンだ』と誰もが思える作品を仕上げてくださいました。周年祭当日、あっという間に完売したときは、ほんとうにうれしかったです」

エブリパンの商品を模したミニチュアパン
JINS PARKでの活動が多くの人の目に留まり、その後ともパンさんは県内各地のイベントから声をかけられる存在に。SNSのフォロワーも一気に増え、現在では1,000人を超えています。
ともパンさん「石井さんからいただいた『100作品をあわててつくるより、1作品。これだと思うものを持ってきてください』という言葉は、いまでも忘れられません。わたしの作品をたのしみにしてくださっている方々に向けて、これからも1作品、1作品、心を込めたものを届けていきたいですね」

【CASE2】群馬で人気のマルシェ「森の雑貨屋さん」
続いてご紹介するのは、「森の雑貨屋さん」。アクセサリー作家 yuyu accessoryさん(以下、yuyuさん)と花雑貨を制作するBaby’s smileさん(以下、Baby’sさん)のお二人が企画・運営するマルシェです。
群馬を拠点に年2回ほどのペースで開催されている本イベント。昨年12月のマルシェでは3,000人を超える来場者を迎えるなど、前橋でも屈指の人気を誇るイベントへと成長しています。
じつは主催者のお二人が出会ったのは、JINS PARKのクリスマスイベント「HOLIDAY MARKET」でした。そこで、yuyuさんは人生ではじめての出店を経験。たまたま隣のブースになったBaby’sさんと意気投合し、以来、お互いを励まし合える存在になっていったのだといいます。

yuyu.accessoryさんの出店ブース
「森の雑貨屋さん」が生まれた経緯をyuyuさんに訊きました。

アクセサリー作家 yuyu.accessoryさん
yuyuさん「JINS PARKでの出会いから半年ほど経ったある日、Baby’sさんとおすすめの出店場所情報を紹介し合うなかで、二人とも『ここだ!』と思える場に出会えず悩んでいたことがわかりました。そんなときに交わした『じぶんたちでやってみる?』という一言から、森の雑貨屋さんは生まれ、動き出したんです。
ふたりではじめて開催したマルシェには、想像を超える数のお客さまが来てくださいました。笑顔あふれる穏やかな時間がいまでも忘れられません」

はじめてのマルシェ。群馬県榛東村の『地球屋』さんにて
JINS PARKでの出会いから生まれた、まちを盛り上げるあらたな動き。おふたりの事例は、JINS PARKで「イベントの企画主催者」の募集をはじめる、ひとつの後押しになりました。地域の人の「やってみたい」を応援することが、まちの元気につながる。そう信じてスタートした取り組みによって、いまでは地域の方が開催・運営するイベントが、JINS PARKでほぼ毎週末開かれるようになっています。
yuyuさん「お客さまに心からたのしんでもらいたい。作家さんの魅力をもっと届けたい。そんな思いが、マルシェの開催を重ねるたびに大きくなっています。『たのしかった』『またやってほしい』という声がある限り、『森の雑貨屋さん』は続けていきたいですね」
【CASE3】アーティスト ぽんちゃん

ぽんちゃんと、お母さまの金里香さん
ぽんちゃんは自閉スペクトラム症の高校1年生。絵画制作に意欲的に取り組むアーティストです。JINS PARKの「イベント企画主催者」となり、2024年7月、個展『いいものは、いいんだ!』を開催しました。
ご縁のはじまりは、ご家族でJINS PARK内のベーカリーカフェ「エブリパン」をよく利用してくださっていたこと。ぽんちゃんの母・金 里香(きむ りか)さんは、JINS PARKで個展を開いた経緯について、こう話します。
金さん「ぽんちゃんが中学2年生のとき、美術館『アーツ前橋』のミュージアムショップではじめての個展を開催しました。障害をあえて前面に出さずに展示したところ、思った以上の反響があって。ほかの場所でも展示できたら、作品や障害について、もっとフランクに受け止めてもらえるのではと感じました。そんなときにJINS PARKでの『イベントの企画主催者』の募集を知ったんです」
すぐに応募したものの、「素人の、しかも中学生の個展なんて受け入れてもらえるのか」と不安だった金さん。けれど、地域共生事業部のスタッフと一緒に準備を進めるなかで、その不安は少しずつ消えていったといいます。
金さん「はじめの打ち合わせで、展示活動をぽんちゃん本人がどう思っているのか、両親だけの意思でないのか、しっかり確認してくださったことが印象に残っています。その姿勢から、ぽんちゃんを尊重する気持ちが伝わってきて、うれしく思いました。
こちらの提案を『いいですね』『やってみましょう!』と前向きに受け止めて応援してくださったのも、ありがたかったです」
3週間にわたって開催したぽんちゃんの個展では、JINS PARKのあちこちに作品を展示。2階の窓には、作品『モナ・リザ』のタペストリーを掲げ、大階段には作品をプリントしたクッションを並べました。

JINS前橋店の商品陳列棚にも作品を展示。「エブリパン」のトレーペーパーには、ぽんちゃんの作品をプリントしました。

多くの人が訪れ、賑わいをみせた本展。なかには、来店していたぽんちゃんに「がんばってね」と直接声をかけてくれる人もいました。SNSのフォロワーは日に日に増え、DMがたくさん届いたといいます。
金さん「障害のあるお子さんを育てるご家族からのDMが多く、なかでも『自分も我が子の道筋をつくってあげられるように生きていきたいです』というメッセージが印象的でした。この展示活動を『エール』として受け取ってくださったことがうれしかったです」
思いがけない展開もありました。個展に足を運んでくださった主治医の先生のご提案で、本島総合病院での常設展示が実現。その様子は地元紙にも取り上げられました。
さらに今年2月には、かつて通っていた特別支援学校とのコラボ企画として、道の駅まえばし赤城「SHOP CAFE Qu」で原画展示やポップアップストアも開催。活動の場をどんどん広げているぽんちゃん。これからの活躍がとってもたのしみです!
【CASE4】「黄色でツナガルプロジェクト」森下達也さん

「黄色でツナガルプロジェクト」森下達也さん
前橋市地域包括支援センター桂萱(かいがや)に勤務する森下達也(もりした たつや)さんは、同センターが主導する「黄色でツナガルプロジェクト」の発起人です。
このプロジェクトでは、高齢者の介護予防や生活の質の向上を目的に、4つの事業を展開しています。その主軸となっているのが「幸せのベンチ」。外出中の高齢者が気軽に休憩できるよう、まちに黄色いベンチを設置する取り組みです。

幸せのベンチ
「幸せのベンチ」の趣旨に賛同したJINSは、JINS PARKにベンチを設置。2023年の周年祭では、来場者がベンチの色塗りを体験できるワークショップを開催いただきました。

ベンチを塗るワークショップ
また2025年からは、同プロジェクトと「前橋BOOK FES(※)」のコラボによる、本を自由に持ち帰れる「前橋BOOK FESの本棚」も、あわせて設置しています。
※前橋BOOK FES……群馬県前橋市で2022年と2024年に開催された、参加者が本を持ち寄り、無料で交換しながら交流するイベント。

JINS PARKに設置した「前橋BOOK FESの本棚」
「本棚の取り組みが生まれた背景に、じつはJINSもちょっと関わっているんです」と、地域共生事業部 石井は話します。
石井「『前橋BOOK FES』が2023年に開催されたとき、部内での何気ない会話から『幸せのベンチで自由に本をたのしめる仕掛けあれば、まちの人たちにもっとよろこんでもらえるかもね』と、アイデアが生まれました。なにかの形で活きればと思い、森下さんにお伝えしたところ、なんと2年越しに実現してくださったんです!報告をいただいたときは、おどろきました」
さらに森下さんは、障害への固定概念を覆すきっかけをつくろうと、アート展やワークショップにも力を入れています。障害のあるアーティストによるアート展「ひらく。」もその一環。地域共生事業部は、2023年度にJINS PARKで展示場所として関わり、2025年度には、JINSが運営する前橋市内のロースタリー&カフェ「ONCA COFFEE」を会場とし、参加作家さんとともに展示場所をめぐる、アートツアーに協力しました。
森下さん「JINSさんとのコラボは、少しハードルが高く感じられがちな福祉の取り組みを、身近に感じてもらえる絶好の機会。今後も、日常の延長線上に福祉を感じてもらえるよう、JINSさんをはじめ、さまざまな企業や団体と連携していきたいです」
この秋には、森下さんとJINS PARKの周辺店舗を巻き込んだ、JINSであらたなコラボ企画を実施予定。「黄色でツナガルプロジェクト」とJINSの今後の取り組みに、ぜひご注目ください!
【CASE5】共愛学園の学生、先生、スタッフのみなさん
最後にご紹介する群馬県の学校法人 共愛学園は、地域や社会との連携に力を入れている教育機関です。
JINSでは、将来、地域を盛り上げていく担い手を育み、地域の可能性を拡げていくことを目指しています。そうしたなか、同学園が設置する、共愛学園前橋国際大学短期大学部(以下、共愛短大)の学生のみなさんとの協働にも取り組んでいます。はじめての取り組みは、2022年にJINS PARKで開催した絵本の読み聞かせイベントでした。

以来、けん玉やコマまわしといった伝承遊びのワークショップを共同開催したり、JINS PARKのイベントで子ども向けブースを出店していただいたり、企画から運営まで学生と共に創り上げたデコレーションイベントを開催したりと、折に触れて協力し合っています。

共愛短大 生活学科 こども学専攻 教授 天宮陽子(あまみや ようこ)さんは、これまでの取り組みを振り返り、こう話してくださいました。

天宮陽子先生
天宮先生「JINSのみなさんはいつも、学生の思いを尊重し、一緒に活動をたのしんでくださいます。そんな姿に学生たちは支えられ、『またここでやりたい!』と笑顔を見せてくれます。JINS PARKは、学生が人として成長できる、大切な場のひとつです」
いまでは、共愛学園が設置する4年制大学、共愛学園前橋国際大学の学生のみなさんをインターンシップに受け入れるなど、そのつながりは、ますます広がりをみせています。
「地元の企業や団体との協働は、学生にとって『誰かのために考え、行動する力』を育むとともに、『地域で生きる喜び』を実感する貴重な機会だ」と天宮先生は話してくださいました。これからも、こうした協働の関係性を深めていけたらと思います。
* * * *
JINS PARKをきっかけに、新たな一歩を踏み出した人。地域づくりに、ひとかたならぬ思いを寄せる人。それぞれに唯一無二の物語があり、地域共生事業部スタッフとの深い信頼関係がありました。
これからも、ここに登場いただいた方々をはじめ、頼れる仲間たちと手を取り合いながら、地域を元気にする活動を続けていきたいと思います。
次回は、地域の可能性をひらくために現場で活動するメンバーたちに焦点を当て、その思いや考えに迫ります!
CREDIT
執筆:森川紗名
デザイン:株式会社ASA
編集:春田知子(株式会社ツドイ)