
2025.05.28
メガネだけじゃない話
「クリエーター」が自分らしく輝くために。個々の可能性を広げるJINSの人材育成
「Magnify Life - まだ見ぬ、ひかりを」というビジョンを世界中で実現するため、国内のみならず、中国・米国・台湾・香港・フィリピンと世界各地域に店舗を展開しているJINS。
世界中のお客さまに、期待以上の商品とサービスを届けるには、従業員一人ひとりの技能やクリエイティブな発想が欠かせません。だからこそJINSは従業員を「クリエーター」と呼び、個々のスキルアップを後押しする環境づくりを目指しています。
2025年4月1日、JINSに約200名の新卒社員が入社しました。クリエーターとして歩みはじめる彼らの成長を、JINSはどのように支援しているのか。人事戦略部 採用担当の塩崎に、育成現場の取り組みや思いを訊きました。
すべてのキャリアは現場から。JINSが店舗を大事にする理由
「企業ビジョンに共感した」「近視のない世界を目指す『ただのメガネ屋じゃない』姿勢に惹かれた」など、さまざまな動機でJINSに入社した新入社員たち。実現したい夢や目標も人それぞれですが、まずは全員、日本国内の店舗勤務からスタートします。
これには、「企画・生産・流通・販売までを自社で手がけるアイウエア企業ならではの理由がある」と塩崎は話します。

人事戦略部 新卒採用担当 塩崎 茉奈実
塩崎「いまやネットショッピングが当たり前の時代ですが、JINSのアイウエアは、現在も9割以上が店舗で購入されています。メガネは見え方や目の健康に直接関わるもの。それだけに、実際にかけ心地を確かめながらフレームを選び、視力測定を受けたうえでレンズを決めたいと考えるお客さまが多いのです。
そんな背景もあって、JINSの店舗にはたくさんのお客さまが来店されます。小さなお子さまから90代のご年配までと幅広く、ニーズもさまざま。そうしたお客さま一人ひとりの声が、企画、製造、販売など全部門の仕事の起点になっていると言っても過言ではありません。
新入社員がそれぞれの夢に近づいていくためにも、まずは店舗で、お客さまやそのニーズを知るところからスタートしてほしいと考えています」
さらに、海外拠点で活躍するうえでも、国内店舗での経験が大きな意味を持つのだそう。
塩崎「JINSブランドのグローバル化を進めるには、商品だけでなく、測定補助やフィッティングの技術、きめ細やかな接客スタイルも、あわせて海外に広げていく必要があります。
というのも、日本ほどサービスに力を入れている国は、世界的にもめずらしいと言われていて。だからこそ、日本発ブランドならではのサービス基準を海外に広げていくことが、JINSの競争力を高めるカギになると考えています。
実際に、国内店舗での勤務経験がない外国籍のストアディレクター(店長)からは『自国では日本のような丁寧なサービスを受けたことがなかったので、JINSの接客基準を身につけるのにとても苦労した』との声もありました。
このエピソードからも、日本の店舗で現場を経験し、サービスのあり方を理解する重要性がよくわかります」
クリエーターとして店頭に立つために。研修で学ぶ仕事の基本
新入社員たちが店舗で良いスタートを切れるよう、JINSでは充実した入社研修を用意しています。
塩崎「入社式を終えた新入社員たちは、まず2日間にわたって、会社のビジョンや社会人としての心構えを学びます。
続いて始まるのが、メガネ販売に必要な知識やスキルを身につける実践的な研修です。JINSでは、『エントリー』『ベーシック』『アドバンス』『エキスパート』の4段階からなる検定制度を設けていて、本研修では、『エントリー』『ベーシック』を合格し、知識やスキルを理解するだけでなく、お客様に体現できるレベルを目指す2週間のプログラムを用意しています。
4月中旬のいま、新入社員たちは全国5カ所の会場に分かれて、トレーニングに取り組んでいる真っ最中なんですよ。様子を見に行ってみましょう」
訪れたのは、JINS東京本社と近隣のビルに用意された研修会場。新入社員たちが真剣な表情で技術習得に励んでいました。
ホールでのお客さま対応を何度も繰り返し練習したり、

視力測定機器の基本操作をトレーナーからじっくり学んだり。

専用のヒーターや工具を使って、メガネのかかり具合を調整する「フィッティング」のトレーニングに集中する人も。

わからないことがあれば、同期に相談したり、トレーナーに確認したりと、意欲的に学ぶ姿が見られました。

気づき、悩み、前へ進む。研修を受けた新入社員の声
研修を終えた新入社員の一人、新井は「研修を通して社会人としての自覚が芽生えた」と話します。

新井「高校を卒業したばかりだったこともあり、入社直後は社会人としての意識が定まっていなかったと思います。けれど、研修のグループワークなどを通して『ひとつの目標に向かって、みんなで力を合わせること』が組織で働くうえでとても大切なんだと理解でき、自然と背筋が伸びました。
クリエーターのみんなに頼られるストアディレクターになりたいと思っています。そのためにもまずは、持ち前の元気の良さと積極性を活かして、いち早く店舗に馴染めるよう努力していきたいです」
また、来日6年目となる中国出身の新入社員、朴(パク)は「フィッティングの技術習得に苦労した」と振り返ります。

朴「お客さまのお顔の形や頭の丸みに合わせて、メガネを細かく調整していく作業になかなか慣れませんでした。すごく落ち込みましたが、家に帰ってからも練習を重ねるうちに、ようやく感覚がつかめてきて。検定試験に合格できたときは本当にうれしかったです。心の中で『よし!』とガッツポーズしました(笑)。
そのときにトレーナーの方から掛けてもらった『合格をゴールだと思わないで』という言葉が、今も心に残っています。店舗に配属されたあとも技術を磨いて、もっともっと成長していきたいですね。
まずは、中国で複数の店舗を統括するエリアディレクター(地域責任者)になることが目標。それに向かって、これからも前向きにチャレンジし続けます!」
一人ひとりの個性や将来像に配慮した人材配置
研修の取材中、とくに印象的だったのは、自分の夢や将来のキャリアについて具体的に語る新入社員たちの姿でした。その背景について、塩崎は次のように話します。
塩崎「採用選考の段階から、私たち採用担当者は候補者と一緒に『将来どんなことをしたいのか』『それをJINSで実現するにはどういうキャリアパスを辿ればいいか』を深掘りしています。このプロセスを通して見えてきた目標や夢は、これからも大切にしてほしいですね。
そんな思いもあって、入社時の配属先は、営業部と採用チームが連携して決定しています。その人の強みを活かすにはどの店舗がいいか。目指すキャリアに合った経験が積める店舗はどこか。そうした視点で話し合い、ただ店舗に割り当てるのではなく、一人ひとりの個性や将来像を踏まえたうえで配置するよう心がけています」
現場教育と座学の両輪で支える。成長のためのサポート体制
そして4月下旬、新入社員たちはそれぞれの配属店舗で働きはじめました。
塩崎「数ヶ月前まで学生だった彼らは、お客さまに最も近い視点を持つ存在。働くなかで気づいたことがあれば、積極的に店舗内で共有してほしいと思います。最初のうちは、わからないことも多く、戸惑う場面もあるかもしれません。それでも少しずつ、自分の手で商品やサービスを届けるやりがいを感じてもらえたらうれしいです」
新入社員が入社研修後も、スムーズにステップアップしていけるよう、JINSは職場環境の整備にも力を入れています。
配属先の店舗ではOJTを行いつつ、ストアディレクターとの1on1ミーティングを定期的に実施するなど、日常的なサポート体制を整えています。
くわえてOff-JTの場として、月に一度の集合研修を開催。検定取得に向けた知識やスキルの習得を支援しています。また、1~5分の動画で学べるWEBツール『マイクロラーニング』も導入。業務の隙間時間を活用して自己学習を進められる環境をつくっています。

「やってみたい」の背中を押すキャリア支援制度
店舗でキャリアをスタートした新入社員たちは、約2年を目安にストアディレクターを目指し、スキルを磨いていきます。その先には、店舗経験を活かしてエリアディレクターや営業部長へとキャリアアップする人もいれば、他部門に異動して、まったく別分野の仕事にチャレンジする人も。
「自分らしい道を歩んでいくためにも、今しかできない経験を存分にたのしんでもらいたい」と塩崎は話します。
塩崎「新入社員は『グローバル社員』として働き、店舗で実践を重ねたのち、活躍の場を日本国内だけでなく、海外に広げるチャンスもあります。このような挑戦は、まだ自分でも気づいていない、自分自身の可能性を広げていくチャンスでもあると考えています。知らない土地やはじめての業務にチャレンジしながらスキルの幅を広げ、『やってみたい』と思える仕事をどんどん見つけていってほしいと思います。
入社5年経過後は、本人の希望次第で、勤務エリアを限定して働く『リージョナル社員』への転向も可能です。その人の目標や価値観に合った働き方を選択して、個々の人生をより豊かにしてもらえたらうれしいですね」
さらにクリエーター一人ひとりの「やってみたい」を応援する文化が根づいているJINSでは、キャリア支援制度も整備しています。
塩崎「店舗で働くクリエーターが本部の企画メンバーとして参加できる『ジョブチャレンジ』や、社内公募を通じて他部門の業務にチャレンジする『キャリアチャレンジ制度』などがあり、私自身もこの制度をつかって、採用の部署に異動してきました。
こうした仕組みを活かしながら、自分らしいキャリアを切り拓いていってほしいと心から願っています」

ビジョン「Magnify Life - まだ見ぬ、ひかりを」のもと、クリエーターの可能性を広げるため、さまざまな施策を展開している育成現場。こうした取り組みは、やがてお客さまの満足度や顧客体験の向上につながっていくはず。JINSはそう信じ、これからもクリエーターの成長を力強く後押ししていきます。
CREDIT
執筆:森川紗名
写真:持田薫
デザイン:株式会社ASA
編集:春田知子(株式会社ツドイ)