CEOメッセージ
満足しない限り、
景色は変えられる。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、私たちの事業にも大きな影響を与えました。しかし、私たちはむしろこれを好機と捉え、JINSのビジネスモデルや企業体質に変化の波を起こしたい。そう、考えています。
まず、有事の際にも滞りなくサービスを提供するための「BCP(事業継続計画)」の策定とそれに対応するバリューチェーンを再構築し、体制を整えること。次に、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」をさらに推し進め、より快適なお買い物体験を生み出すこと。そして、異業種からの参入も含めての他を圧倒するような、新しいビジネスモデルを早急に確立すること。最後に、サスティナビリティビジョンを指針に、事業活動を通して社会の課題解決を進めていくこと。これらをすべて叶えていくためには、ここで働く一人ひとりの自立した意志が重要となりますし、大きな意識変革が求められます。
JINSが福岡天神に1号店を出してから、20年以上が経ちますが、私たちはますます新鮮で、驚きを有した存在でありたいと考えています。変化を恐れず、縮こまらず、決して挑戦をやめないこと。個々が能動的になり、縦横無尽につながり合う組織へと脱皮すること。「Magnify Life(マグニファイ・ライフ)」というビジョンが、この世界にもっと広がっていくために。これからのJINSに、ますますご期待ください。
代表取締役CEO 田中 仁
今、僕が思うこと
メガネは靴を超えられるか
2025年04月03日
これまでを振り返ると、JINSはまず価格のイノベーションを通じてメガネをファッションアイテムのひとつにしました。メガネを複数所有し、シーンに合わせて使い分けられる価格帯にできたからです。高価なメガネを1本所有し、どんな場面でも同じものを使うという常識を覆し、誰もが手に取りやすい価格帯でアイウエアを提供することで、新たな文化を生み出したといえます。
次は、機能からのイノベーションです。PCやスマホの利用増に合わせたブルーライトカット、その他にも花粉カット、近視に関係があると言われているバイオレットライトの選択透過など、これまでになかった機能を備えたアイウエアを提供してきました。日常生活におけるありふれたシーンに対応するものも多くあります。例えば「ドライブレンズ」は、昼間の太陽光や夜間の対向車のヘッドライトのまぶしさを軽減し、自然な視界を確保します。こうした機能的な進化とともに、アイウエアの位置づけ自体を再定義することで、市場の可能性はさらに拡大すると考えています。
ではここからの未来はどうでしょうか。もし、下駄箱やシュークローゼットのように、自宅に「アイウエアクローゼット」があったとしたらどうでしょうか。天候、用途、服装、シチュエーション、会う相手、時間帯などに応じて、アイウエアを選ぶライフスタイルです。靴は多くの場合、外出時に履いて出かけたらそのまま一日過ごすことが多いかと思います。一方、アイウエアは家用、お出かけ用、サングラス、PC作業用、リーディンググラス、ドライブ用、スポーツ用など、度数やデザインなど、屋内外でさまざまな使い分けがなされるポテンシャルを持っています。靴はほとんどの人が毎日使うが、「メガネは視力が良くない人だけが使うもの」という考え方はもうずいぶん前から変わり始めています。参考までに靴の市場規模を見てみると、2023年度の国内靴・履物小売市場規模は約1兆2000億円と推計されています*1。
靴以上に、シーンごとに適したアイウエアを選び、着替え、使い分ける文化が根付けば、約5000億円といわれる日本のアイウエア市場が2倍以上になる可能性を十分に期待しうるのではないでしょうか。
JINSは、国内市場の拡大だけでなく、グローバル市場を視野に入れ、さらなる成長を目指しています。そして、実現したい世界を表現するスローガンが『Magnify Life –まだ見ぬ、ひかりを』です。アイウエアを通じて、人々の生活をより快適に拡張する。生活のあらゆるシーンでアイウエアが持つ価値を最大化し、それが市場規模の拡大とJINSの成長へとつながっていくことをイメージしています。これからも価格、機能、そしてライフスタイル全体を変える提案によって、アイウエアが視力矯正のためだけの道具ではなく、ファッションや健康などライフスタイルの根幹を支える重要なアイテムへと進化する。その先に、靴に近づき、靴を超えるほどの未来があるのかもしれません。