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今、僕が思う事

前を向き続けることの大切さ -「JINS SCREEN FOR SLEEP」の発売にあたり-

2024.03.27

私たちJINSは、睡眠の環境を整えるメガネ「JINS SCREEN FOR SLEEP」を発売することになりました。
これは、日本人の睡眠が先進国の中で最も短いという課題に着目し、JINSが培ってきたブルーライトカットメガネの知見と組み合わせることで、人々の睡眠に貢献するための商品です。

実は、この「JINS SCREEN FOR SLEEP」には感慨深いものがあります。
それは、いま思い出してもちょっと苦いストーリーがあるからです。

2021年のことでした。
私たちは渋谷区の公立小学校にブルーライトカットメガネを寄贈しようとしていました。
これはオンライン授業が増え始めた子供たちが、タブレットやスマホなどの利用が増えていることを踏まえ、夕方以降にご家庭でご活用いただくことで子供たちの目の健康に貢献したいという思いからでした。

しかし、日本眼科学会をはじめとする団体連名で「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」が出され、その一部を切り取った報道によって、「子どもに対してブルーライトカット眼鏡の効果がない、むしろ悪影響を与える可能性がある」とのメッセージが伝わってしまいました。私たちは短期間では使い方や当社の思いを十分に伝えきれないことも想定されることからやむなくこの寄贈を中止することにしたのです。

これは約3年前のブログです。
「ブルーライトカットメガネについて」
https://jinsholdings.com/jp/ja/ceoblog/20210602/

当時のブログを読むと、悔しさと、その悔しさを正しい努力につなげようとする意志を感じます。この時起こったことは、当時のJINSにとっては良くないことだったかもしれません。自分たちがやろうとしていたことが頓挫したわけですから。
しかし、この出来事が、JINSが人々の健康に密接に関係している事業をやっていることを改めて自覚するきっかけとなりました。当時の私は、「これを糧として、より正しく、よりサイエンスに基づいて、人々の健康と人生に貢献できる企業になっていくという覚悟を新たにしました。真摯に、謙虚に、そして堂々と、歩みを進めてまいります。」と綴っています。
その通りなのです。起こったことをもとに、それを真摯に受け止めて、前に向かうエネルギーにつなげること。これが最も大切だと考えます。

JINSは以前から社内にR&D室を設けており、産学連携によってブルーライトやバイオレットライトなど光の研究を積み重ねてきました。約3年前の出来事を機に、スタンフォード大学医学部教授で睡眠領域の権威である西野先生をはじめとする専門家の皆さまたちと、念入りな研究を行ってまいりました。具体的な調査方法や数値についてはこちらでご覧いただけますが、研究の結果、ブルーライトカットメガネの装用により、就寝前にブルーライトを浴びる習慣のある子供たちの早寝早起き、日中の気分・行動改善の可能性が示唆されました。PCやスマホを多用する現代のビジネスパーソンに支持されたJINS SCREENを起点として、人間の生活や健康にとって極めて重要である「睡眠」という課題に科学的にアプローチすることができたことで、JINSが持つ社会的な意義を再認識することができました。

さらに発売するにあたり、ユーザーテストとして10歳~39歳までの男女108人に対して、2週間・睡眠の3時間前に装用後、装用していない期間と比較した調査を行った結果、86、1%の人が睡眠の環境が整ったと実感していただいています(自社調べ)。

こうして、約3年前の出来事がその時だけの悔しい思いにとどまらず、人々の生活の改善に貢献しうる商品につながったことは大変嬉しいことです。これはまさに私たちが掲げるMagnify Lifeというビジョンそのものです。ご協力いただいた医学や睡眠の研究者の皆さまに感謝するとともに、地道な努力で「JINS SCREEN FOR SLEEP」の発売にたどり着いたメンバーたちを誇りに思います。
往々にして、忸怩たる思いをすることで斜に構えたり、反発心を持ったりしがちです。
しかし、私たちは起こったことには必ず意味があると捉え、それをもとに前に向けて歩みを止めない組織でありたいと思っています。

※社長メッセージは記事掲載時点における最新の情報や考えを、敢えてそのまま掲載しています。よりタイムリーにメッセージをお伝えすることを重視しているため、メッセージ内で掲載されている内容と、公式に発表されている実際の取り組みに多少の差異が生じる場合がございます。あらかじめご了承ください。