トップメッセージ
デジタルでジンズを超えていく
かつてのジンズは、いわゆるメガネ業界のディスラプター(*)でした。
何をディスラプトしてきたか。
当時のメガネ業界には、お客様から「不満の4重奏」が渦巻いていました。
「店舗」「商品」「価格」「納期」に対しての不満です。
私たちは当時、メガネの顧客体験を真正面から捉えなおし、これらを解消することでメガネの売上本数日本一になったのです。
特に、高い品質の商品をシンプルな価格体系で安価にご提供したことが、お客様から高い支持をいただけたポイントだったと考えています。
しかしながら、いまはもうそれが当たり前の水準になっています。
当時は斬新だった価値が、今はごく普通のことになっているのです。
これまでに築いてきたものの上に安住し続けることは不可能ですし、そのつもりもありません。
では私たちはこれからどうするべきか。
私はもはや、メガネ業界ではなく「ジンズそのものをディスラプトするときがきた」と感じています。
つまり、これまでの延長線上で、ただメガネを作って売るだけではいけないということです。
もっともっと決定的にお客様の体験を変えていかなければいけない。
そこで、デジタルです。
新しい体験はデジタル抜きには語れません。
顧客体験も、それを提供するビジネスそのものも、テクノロジーによって枠組みごと変えていきたい。
そう考えています。
ITやDXというと、「ECでもっと多く売りましょう」「業務効率を高めましょう」という話に終始しがちです。
もちろんそれらは重要です。非常に重要です。
しかし私は、ジンズをすべて刷新したいのです。
暗号資産の例を考えてみてください。
テスラのイーロンマスクが車の決済にビットコインの利用を検討したり、世界的なアスリートであるサッカーのメッシ選手が契約金の一部をファントークンで受け取る時代が来るなどと、誰が想像できたでしょうか。
これまで考えもしなかったレベルのことが世界中で起こっています。
私たちジンズもこういったイノベーションを起こしていきたい。
そのためにはデジタルに強みを持つ仲間が絶対に必要なのです。
メガネ型ウエアラブルデバイス「JINS MEME」がもし100万人の手に渡ったらどうなるでしょうか。
そこからどんなデータを得て、どのようにユーザーに貢献でき、人々の暮らしを変えられるでしょうか。
もしそれを無料で提供するとしたらどのようにビジネスを成立させることができるでしょうか。
ジンズをディスラプトすることを、このようなレベルで考えたいのです。
私自身、スマートシティの計画に関与する機会が多く、
「人々の暮らしに寄り添うデジタル」を考えることがよくあります。
常に思うのは、どこまでいっても「デジタルは手段、人が主役」だということです。
人々の体験や生活を変えるには、しかも、決して仮想現実ではない「生身の人の実際の生活」を変えるにはどうすればよいか。
世の中はものすごいスピードで変化をしていきますが、
実は多くの人は急激な変化を望んではいません。
「変化しているように感じさせず、変化している」という状況をどうつくるか。
人の生活に根差し、人の生活に「なじむデジタル」といってよいかもしれません。
とても高い目標です。
私たちは、デジタルでジンズを越えていきます。
* 既存の業界の秩序やビジネスモデルを破壊的に革新するプレイヤー
代表取締役CEO 田中 仁