プロジェクトストーリー

#02

店舗人事制度改定 Project Story

2020年。JINSでは店舗で働くクリエイターがが働きやすい環境を作るために、店舗人事制度改定がスタートしました。
社員だけではなく、パートや準社員を含めた店舗で働く全クリエイターが評価される仕組み作り、わかりやすい昇給制度の設計、可能性が広がるキャリアパスの設計。このプロジェクトを推進した3名と、店舗で働くクリエイター代表として現店長から、制度が改定されるまでと改定後のクリエイターの変化について伺いました。

  • 小川 篤史
    人事戦略本部

  • 藤本 早織
    人事戦略本部

  • 篠田 大助
    店舗OP

  • 矢作 亜由美
    ストアディレクター

普段の仕事内容と、店舗人事制度改定のプロジェクトにおける役割を教えてください。

  • 小川/私は人事戦略本部の人材開発グループのディレクターとして、教育施策の企画立案から運営まで担当しています。また、制度推進グループにも所属し、人事制度の策定や企画・立案・実行まで行っています。 今回のプロジェクトにおいては、メインの担当者として、店舗オペレーション部とともに、新たな人事制度を企画立案し、設計・運用を行いました。

  • 藤本/人事戦略本部の制度推進グループと、人事戦略本部の本部人材開発グループを兼務しており、今回の人事制度改定においては、導入段階から参画し、小川が作り上げた構想を具現化していくため、企画の詳細設計を担当。新たな報奨制度に対し、具体的にどのように報酬を支給するのかといったインセンティブ制度の運用も行いました。

  • 篠田/店舗オペレーション部の店舗支援グループに所属しています。店舗に係る業務全般を担う役割とともに、店舗施策に関して本部の各部署との調整を行うことが主な役割です。
    店舗人事制度の改定に関しては、現場でトライアルを実施し、本部にフィードバックをしたり、運用時には、昇進試験の運営も担当しました。

  • 矢作/私は現在JINS池袋パルコ店と、JINS東急ハンズ池袋店のストアディレクターをしており、接客のほか、店舗の運営管理やスタッフマネジメントを行っています。
    今回のプロジェクトについては、新たな人事制度を、本部の思いを含めて自分を通してクリエーターたちに伝え、各店舗で実施を推し進めてきました。

店舗人事制度を改定した経緯とは?

  • 小川/JINSの人事制度が最初に作られてから大分時間も経ち、店舗やクリエーターたちの状況も含め、大きく変化してきたことから、そろそろ改定の必要性があると思っていました。
    特に課題として感じていたのは、パートや準社員に対し、インセンティブ制度がなかったことです。店舗で働いているのは正社員だけではありません。パートやアルバイトを含む全クリエーターを評価対象とした制度をつくり、頑張る人が報われるしくみづくりが必要だと思いました。
    2点目は、役職・等級制度の見直しです。これまでは、なぜその人がその評価を得ているのかわかりづらかったので、役職・等級を明確化し、担当店舗のランクが上がったり、資格を取得すれば給与も紐付いていくような、誰が見てもわかりやすい昇給制度を設計しました。
    3点目は、新しい役職を新設したことです。JINSでは入社後まず店舗に配属され、クリエーターからストアディレクターを目指し、その後はエリアディレクター、シニアエリアディレクターへと進むキャリアパスが一般的で、キャリアアップ感が閉塞的になっていました。そこでより多くのキャリア像を描きながら働けるよう、キャリアを横に展開できるような新しいポジションをつくろうと考えたのです。
    クリエーターの中には、ストアディレクターになるよりも、人に教えることが好きで、教育面で貢献したいと考えているスタッフもいます。そこで自店のクリエーターだけでなく、複数の店舗を横断的に教育する役割を担う「トレーナー」という新しい役職をつくりました。

制度改革や運用を考える上で意識したことは?

  • 小川/今回の人事制度改革においては、パートを含む全クリエーターが、お客様や店舗のために、何かしら目標をもち、ワクワクしながら働いてほしい。そして「JINSでもっと長く働きたい」「より高い目標に向かって頑張りたい」という人を増やしたいという思いがありました。
    そこで、前向きな人、努力している人、周りを巻き込みながら何かを達成しようとして働いている人たちをイメージし、その方々がより成長できる仕組みは何か、徹底的に考えました。そして、自分たちが何に対して頑張るのか、目指すべき指標を明確し、その指標に対して行動を起こした人が報われる制度をつくろうと考えたのです。そうすることで、すべての店舗クリエーターがチームの一員として積極的に店舗運営に参加できるようになり、店舗により一体感が生まれるのではないかと思ったのです。
    人事制度の改定といういままで誰もやったことがない仕事でしたが、誰もやったことがないからこそチャレンジのし甲斐もある思い、経営陣に根気強く交渉し、インセンティブ原資を獲得することができました。

  • 藤本/私が今回のプロジェクトで意識していたことは、パートスタッフも含め、クリエーター個人の成長が、どう会社の成長につながるのかを明確化することでした。「個人の成長が会社の成長につながる」ということは、以前から社長も常に発信していたメッセージでもあるので、個人と会社の双方がより強くなるためにはどうすべきか、常に念頭に置きながら制度設計を行ったつもりです。
    また私も現場出身なので、現場のクリエーターの理解を得られないような制度設計は絶対に避けたいと思っていました。そこで、役職の内容などについては、ストアディレクターやクリエーターには何度もヒアリングを行い、コミュニケーションを取りながら決めていくよう心がけました。

  • 小川/たしかに店舗へのヒアリングはかなり重点的に行いましたね。
    私もそうでしたが、普段、人事制度を意識して働いている人はあまりいないと思うんです。だからこそ、もっと人事制度を身近なものとして捉え、常に意識しながら仕事をしてもらうために、まずは人事制度を理解してもらうことが大切だと考えました。個人的にも店舗を回って話を聞きましたし、パートの方や全ストアディレクターにアンケートをとり、質問にはすべて回答してきました。
    また今回は、単に制度をつくるだけでなく、制度と日常の行動とを連動させるということを重要視していました。
    そのため、半期に1回だった報奨制度を、四半期に変更。指標に対する達成度を確認する仕組みもつくり、自分の行動を毎日意識してもらうようにしました。
    人事制度を自分で担当してみてわかったことは、人事制度とは、社長の思いや企業理念を体現するための一つの手法だということです。全クリエーターが日々会社が目指す指標を意識して働くことで、社長の意思やビジョンを、店舗運営に反映させることになると思っています。

制度改革を進める上で苦労したこととは?

  • 篠田/制度改革を進める上で苦労したことは、店舗によって温度差が出てしまうことでした。現場でトライアルをしたとき、やはり店舗によって取り組み方に差異が生じ、自発的に工夫したり活用したりする店舗と、そうでない店舗が出てしまいました。そこで、店舗のための制度であることを理解してもらい、現場と本部の意識の乖離が極力少なくなるよう、本部の意向をありのままの状態で各店舗に共有することを心がけました。また、各店舗やエリアディレクターの意見を吸い上げて本部に伝えるときには、自分が間に入り咀嚼したり、不明なことを残さぬよう、質問・確認を何度も行うようにしました。

  • 矢作/新しい制度についてはまずミーティングで店舗のクリエーターに話したのですが、すぐに各クリエーターが理解することは難しいという印象でした。そこで、個別に面談し、この制度改定が自分の働き方につながるものだと実感してもらえるよう、相手の大切にしている価値観に合わせながら伝える工夫をしました。「あなたの働き方に対して、こういう使い方ができるよ」「あなたの成長にこうやって寄り添ってくれる制度だよ」といった説明をした時に、大分納得感を持ってもらえたかなと思います。
    また、ストアディレクター同士でチームを組み、「咀嚼ワーク」を行ったことも有効だったと思います。ストアディレクター自身が自分の中に新しい制度をどう落とし込むのか、それをどうクリエーターに伝えるのかをロールプレイングして、よりよい伝え方を共有するようにしました。
    ただ、前制度とは違い、目標達成のために「どう行動するか」をしっかり落とし込んで考える必要があるため、いざ個別の目標設定をしようとすると、かなり時間がかかってしまうことが課題でした。そこで、目標設定をする前に、会社のコアバリューを読み合わせして理解を深め、あらかじめ目標設定の組み立ての流れを説明するようにしたところ、時間をかけすぎずに、本人が納得できる目標設定ができるようになりました。

  • 藤本/新しい制度に変わることに対しては、さまざまな意見があり、すぐに理解してもらえない時もありましたが、いろいろな意見に対して、誠実に答えることはもちろんのこと、対話を重ねながら、少しずつ理解を深めていくことが重要だと感じました。とくに、新制度の方針を背景含めて説明するだけでなく、企画者のメンバーたちがどんな思いをもち、何を成し遂げたいと願い、今後どういう世界を作りたいかというところまで根気強くメッセージを送り、共有していったことで、共感してくれる雰囲気も広がったと思っています。これは、小川も含め、みんな現場を経験し、現場勘があるからこそ、店舗に対し、どういうメッセージを伝えるべきなのかを深く考えていたからだと思います。
    時間はかかりましたが、この制度が自分のためのものであると落とし込めた人は、JINSで意味をもって仕事をしてくれるようになったなと実感することもできたので、これは今後も引き続き必要な活動だと思っています。

制度改革によってどのような変化がありましたか?

  • 矢作/新しい仕組みができたことで、お店の雰囲気や自分がクリエーターに関わる時のコミュニケーションの仕方がずいぶんと変わりました。
    報奨制度を、四半期に変更したこともよかったと思います。半期に1回だと、私もスタッフも最初に立てた目標を忘れてしまい、面談で今期の目標を思い出すことからスタートし、そこから慌てて行動するということもありました。今は、目標を日々意識できているなと感じます。さらに、目標に対して、どう行動するか自分で考え、達成感や反省点を次に生かそうとする姿を見ることができました。やるべきことや、やりたいことが明確になったので、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、楽しそうに働く様子も見られます。

  • 篠田/いままでは、パートや準社員の方々が、会社のコアバリューというものに触れる機会があまりなかったので、制度導入直後は、店舗を回りながらも、理解してもらうことの難しさを感じることもありました。しかし、少しずつコアバリューの言葉が店舗の会話の中に増えたような感覚もあり、こういう積み重ねを大事にしていくことで、コアバリューの体現度も変わってくるのだなと思いました。
    また、評価する指標をしっかり定めたことによって、エリアディレクターやストアディレクターがクリエイターを育成する時の軸がよりわかりやすくなったと思います。「今日のあなたの行動は、この指標にちゃんと沿っていますよ」とわかりやすく伝えて評価できます。
    最近では、Good Job Cardという相互評価の仕組みを積極的に活用し、毎日のコミュニケ―ションツールとして活用してくれているエリアもあります。ただ単に制度に従うのではなく、店舗のクリエーター自身が、制度を活用しながら、どう自分の行動に移すのか、自ら考える習慣ができるとよいなと思います。

  • 矢作/新しいポジションができたことにも期待が膨らんでいます。店舗で働くクリエーター全員がストアディレクターになりたいわけではありません。JINSに入社した理由も、JINSのビジョンに共感をしたからであり、この会社なら自分が成長できると感じた人が多いと思いますが、自分がどういうキャリアを築いていくのか、キャリア像を広く見ることができずに悩む人もいるかもしれません。「トレーナー」など働き方のバリエーションが増えることで、自分らしい働き方、将来像もより描きやすくなると思います。

プロジェクトの今後の取り組みを教えてください。

  • 小川/現在はフェーズ2を企画立案中です。フェーズ1においても、まだ解決できていないこともあるので、引き続きブラッシュアップしながら、納得感があるものに仕上げたいと思っています。
    同時に、経営側からは、コロナ後の店舗の働き方に対応できる新しい制度をつくるというお題をもらっています。小売りの手法にとらわれず、さまざまな業界の対応策を勉強しながら作っていきたいですね。
    私が今後も大切にしたいと思っているのは、人事制度に限らず「スピード感をもって変えていく」という意識です。変わらないということは、会社の成長を止めてしまうことにもなるので、困難があってもあきらめず、少しずつでも変えていく意識をもち、変革し続けていきたいと思っています。

  • 藤本/これまで人事制度は、1度作ったら簡単には変えられないということが常識だったと思いますが、今回のプロジェクトでは、「変えていく」「柔軟に変化させていく」ということが重要なキーワードになったと思っています。小川も、今回の改革は最終決定事項ではなく、これからも常に変わっていくとクリエーターに伝えています。今後もストアディレクターやエリアディレクターとも連携しながら、いろいろな意見を吸い上げ、多くの人にとって納得感のあるものになるようさらに研磨していきたいですね。また、自分が声を上げることで、制度は変えられるし、「自分の未来」をつくることにつながるのだと感じてほしい。ぜひそういう期待感をもって人事制度に触れてほしいなと思います。